自身で独立して1から店を作るより、フランチャイズに加盟したほうが事業は成功しやすく、本部からのサポートも受けられるためメリットが大きいのは事実です。
しかし、そんなフランチャイズも加盟金や設備投資費など、初期費用を負担に感じている方も多いのではないでしょうか?
また、お店を運営していくうちに、資金ショートが起こる可能性もあります。
そのため、小売業、外食業、サービス業をはじめとした平均的な開業資金と資金不足の際の調達方法を知っておくことは大切です。
フランチャイズ加盟に必要な資金は様々ですが、1,000万円以上の開業資金が必要なこともあります。
しかし、自己資金で賄えないからと言って、諦めることはありません。フランチャイズ本部によっては優遇制度が用意されているケースもあります。
また、金融機関の融資を活用することで、少ない自己負担でも開業が可能です。
本記事では、フランチャイズに必要な開業資金の目安と、資金調達の方法について解説します。
これからフランチャイズに加盟しようとしている方や、資金調達を検討している方は、本記事をぜひ参考にしてください!
フランチャイズオーナーとしての独立に必要な開業資金
平成20年3月のフランチャイズ・チェーン事業経営実態調査報告書によると、開業に必要な資金の平均額は以下の通りです。
【店舗を自分で用意した場合】
- 小売業:3,488万円
- 外食業:3,292万円
- サービス業:3,087万円
【店舗を本部に用意してもらう場合】
- 小売業:1,511万円
- 外食業:1,869万円
- サービス業:4,460万円
フランチャイズ加盟には予想以上に費用がかかると感じた方も多いでしょう。あくまでも、上記の数値は平均値であり、中には数百万円での開業が可能と謳うフランチャイズ本部もあります。
少しでも開業資金を抑えたいというのであれば、開業資金が低いフランチャイズを探すか、既存の店舗を引き継げるフランチャイズや、無店舗型のフランチャイズブランドへの加盟を検討してみるのも手です。
フランチャイズは、さまざまな業種で展開されている
フランチャイズは、さまざまな業種で展開されています。
具体的には、小売業であれば
- スーパーマーケット
- コンビニエンスストア
- アパレル
- 自動車
- ガソリンスタンド
などが挙げられます。
また、飲食店を例に上げると
- ファストフード
- レストラン
- 居酒屋
- 喫茶店
- サービス業では、
- クリーニング
- 美容院、
- フィットネスクラブ
- 塾
- リフォーム
などがあります。
同じ業態の中でも、店舗面積や必要設備によって、初期費用は大きく変わります。フィットネスクラブひとつにしても、個人向けなのか、大衆向けなのかで必要になる設備の数は変わるので、いくつかのフランチャイズ本部を比較検討するといいでしょう。
業種別の開業資金の目安
フランチャイズの開業には、開業資金の平均値だけを見ると、莫大な金額がかかるようにも思えます。
しかし、実際には開業資金がいくらかかるかは業界や業種によって大きく異なります。一例として「小売業」「飲食業」「サービス業」の3つの業界の目安を見てみましょう。
【開業資金の目安(小売業の場合)】
- チケット・金券ショップ:200万円から400万円
- 古本・DVDの販売店:2,000万円から5,000万円
- コンビニエンスストア:100万円から300万円
【開業資金の目安(飲食業の場合)】
- ファストフード:300万円から2,000万円
- テイクアウト型飲食店:100万円から3,000万円
- 居酒屋:100万円から2,000万円
【開業資金の目安(サービス業の場合)】
- クリーニング:200万円から600万円
- パソコン教室:50万円から350万円
- ハウスクリーニング:20万円から200万円
開業資金をいくら用意すべきかは、開業したい事業の種類によっても異なります。自分が検討している業種の開業資金の目安を確認して、どれくらいの金額が必要なのか知っておきましょう。
実際に加盟者が用意している資金額
では、実際にフランチャイズに加盟するには、どの程度の自己資金が必要なのでしょうか?
ここからは、実際のオーナーがフランチャイズ加盟時に準備していた自己資金をチェックしていきます。
驚くかもしれませんが、開業資金が多額にもかかわらず、フランチャイズオーナーが準備していた自己資金は、平均で300万円です。
全て自己資金で開業するオーナーが少ないことがわかりますね。
フランチャイズ開業資金の内訳とは?
開業に必要なおおよその資金がわかったところで、具体的に「何にいくらかかるのか」という点を考えていきましょう。
一般的に、フランチャイズの開業資金には以下のような費用が含まれます。
- 加盟金と保証金
- 物件取得費と内外装費
- 研修費
- 採用人件費
- その他手数料
それぞれどのような費用なのか、各項目の概要を見ていきましょう。
フランチャイズ開業資金の内訳:①加盟金と保証金
加盟金は、毎月支払うロイヤリティとは違い、加盟時に一度だけ支払いが発生します。
大半のフランチャイズ本部は加盟金を設定していますが、中には加盟金0円のフランチャイズ本部も存在します。
しかし、加盟金0円のフランチャイズでは仕入価格やロイヤリティが高い場合があるため注意しましょう。
事前にフランチャイズ契約書にしっかりと目を通し、各項目の費用を計算しておくと安心です。
加盟金に加え、保証金を支払う必要があります。保証金は、店舗からのロイヤリティ等の支払いが滞った際に備え、遅延分を補填するために預けておく費用のことです。
加盟金とは異なり、保証金はフランチャイズ解約後には返金されます。
フランチャイズ開業資金の内訳:②物件取得費と改装費
フランチャイズで開業する際には、基本的には店舗が必要です。また、店舗は本部が用意する場合と加盟者が用意する場合があります。
加盟者が物件を用意する場合は、当然、敷金や礼金、保証金といった物件取得費が別途必要です。また、内装や外装の変更、必要な設備の導入のための改装費もかかります。
フランチャイズ開業資金の内訳:③研修費
フランチャイズに加盟すると、フランチャイズ本部による研修に参加することになり、この研修にも費用がかかります。
店舗を問題なく経営できるよう、加盟者向けの研修は必須です。ここで、経営ノウハウなどを体系的に学ぶことができ、開業後もスムーズに店舗運営ができるようになります。
なお、ブランドによっては研修費が加盟金に含まれているところも存在しますので、確認しておきましょう。
フランチャイズ開業資金の内訳:④採用人件費
店舗運営のためにはスタッフが必須。営業中の各時間帯にスタッフが何人必要なのか、時給はいくらが相場なのかなどは、業態や店舗面積によって異なります。
店舗運営に必要な人員数は、フランチャイズ本部がおおよそ把握しています。また、出店地域によっても賃金は異なりますので、すでにあるフランチャイズ加盟店がどのような店舗運営をしているのかも重要な確認事項です。
フランチャイズ開業資金の内訳:⑤その他手数料
フランチャイズによっては、本部のシステムを利用する費用や、広告宣伝費を加盟時に支払う場合があります。
契約前に必要な初期費用をすべて把握しておくことで思わぬ支出の発生を防げます。
思わぬ落とし穴に落ちぬよう、予め必要になる経費は洗い出しておきましょう。
フランチャイズの運営に必要なのは初期費用だけじゃない!
フランチャイズ運営には、初期費用のほかに、運転資金が必要なことも忘れてはいけません。
店舗運営に必要な運転資金は、大きく以下の2つに分類できます。
- 固定費
- 変動費
それぞれ詳しくみていきましょう。
フランチャイズの運営に必要な資金:①固定費
固定費は、売上に関係なく毎月必ず発生する費用です。
例えば、家賃、人件費、設備のレンタル代金や維持管理費、各種保険や通信費など、定額で定期的に発生するものを指します。
また、フランチャイズ本部に支払うロイヤリティが毎月固定額の場合は、ロイヤリティも固定費です。
フランチャイズの運営に必要な資金:②変動費
変動費とは、店舗の売上によって変動する費用のこと。
具体的には、水道光熱費、仕入れ代金、広告宣伝費などが含まれます。フランチャイズ本部に支払うロイヤリティが、売上の何パーセントと計算される場合は、ロイヤリティも変動費となります。
毎月、同じ金額で発生しないものの、予算を立てる上で、ある程度の予測が必要となります。
なお、この2つの項目から、店舗を運営するにあたっての損益分岐点の計算が可能です。損益分岐点とは、いくら売れば店舗の固定費と変動費をペイできるかという、経営上重要な数字です。
経営戦略を立てる際にも重要なので、覚えておきましょう。
フランチャイズで開業するのに必要な資金の調達方法
ここまでフランチャイズ加盟に必要な初期費用とそれぞれの業態にかかる平均的な開業資金を見てきました。
多くのフランチャイズ加盟者が、全てを自己資金で賄っていないということは、すでにご紹介しましたね。
ここからは、具体的にどのような方法で資金を調達するのかを解説していきます。
フランチャイズを開業するのに必要な資金は、主に以下の2つの方法で調達することができます。
- 自分で用意する方法
- 外部から調達する方法
それぞれの資金調達方法がどのようなものなのか、詳しくみていきましょう。
資金調達の方法:①自分で用意する
自分で資金を用意する場合、サラリーマン時代から少しづつ貯金するか、退職金を開業資金に充てるというケースがほとんどです。
しかしこの場合、若い頃から自分のお店を持つのが夢であった方や、高級取りで貯金する余裕がある方、そして、退職金が十分にもらえるほど働いていた方でなければ、自分で開業資金を用意するのは難しいといえます。
そのため、多くの方が自己資金と合わせて外部から資金調達を行っているのが実情です。借金と聞くとなかなかハードルがありますが、お店を運営するうえでは避けては通れない道といえるでしょう。
フランチャイズ本部に加盟金や保証金を支払い、店舗を借り、改装し、設備を購入すると、とても自己資金で賄うには無理があります。
資金調達の方法:②外部から調達する
外部からの資金調達に利用される制度は、主に以下の2つ。
- 政府系金融機関からの融資
- 政府認証の民間金融機関からの融資
資金を外部調達する場合は、自己資金の割合に対して融資額が決定されることが多いです。各金融機関の融資基準にもよりますが、多くのの場合、自己資金と融資の比率は1:1になります。
また、普段の生活から、毎月の社会保険料や水道光熱費の引き落とし、クレジットカードの支払いなどを正しく行えているかもチェック項目です。
フリーランスであれば、税金の滞納をしたことはないか、確定申告はしっかりと行っているか、隠している借金は存在しないかなど、しっかりと担当者に対して、融資を受けた分は毎月返済を行えることを証明する必要があります。
返済能力の証明をするには、口頭で説明することに加え、土地や家屋などを含む財産の合計額や、事業計画書などを提示することも必要です。
本部によっては日本政策金融公庫や金融機関の融資に関する相談・サポートをしてくれるところもあります。自信がない場合は、本部のサポート内容を確認するのも手です。
また、金融機関との打ち合わせで、加盟を検討しているフランチャイズの将来性について有意義な意見がもらえることもあります。
万が一、融資を断られた場合は、すぐに諦めることはありません。融資が受けられない理由をしっかりと確認し、足りない部分を埋めることで、再度検討するようにしましょう。
具体的な資金調達手段を徹底解説!
ここまで、自己資金だけでなく、外部から資金を調達することが大切だとお伝えしてきました。
ここからは、フランチャイズ加盟時に利用できる、具体的な資金調達方法について見ていきます。
具体的な開業資金調達方法:①銀行からの融資
具体的な資金調達方法の1つ目は、銀行の融資を受けて開業する方法が挙げられます。
無事に審査に通り、借り入れができれば少ない自己資金で開業ができるのが魅力。なお、銀行の融資は大きく2つの種類に分けられます。
- 保証協会付融資
- プロパー融資
保証協会付融資は、審査が優しい代わりに保証協会に保証料を支払う必要があり、プロパー融資は審査が厳しいという特徴があります。
新規で開業する場合は、銀行にとって貸し倒れリスクが高い融資となるので、基本的には「保証協会付融資」が多いです。その場合、保証料を支払う分、毎月の支払い金額が増える点に注意しましょう。
融資を検討する際は、毎月の利益と総返済額を含む支出を計算し、無理なく支払い可能な借り入れ額に抑えるのがポイントです。
銀行融資のメリット・デメリットを以下にまとめましたので、参考にしてください。
【メリット】
- 個人で独立するより融資を受けやすい
- プロパー融資の場合、融資金額に上限がない
【デメリット】
- 日本政策金融公庫より審査条件が厳しく、金利も高め
- 自己資金がない状態で融資は受けられない
フランチャイズの開業資金調達手段:②日本政策金融公庫(日本公庫)からの融資
銀行からの融資と同時に、日本政策金融公庫(日本公庫)からの借り入れも検討しましょう。
日本公庫とは、国が民間企業の支援を目的として、100%国が出資している政府系の金融機関です。
銀行と異なり、新規開業者への貸付にも積極的で、銀行の審査に通らないケースでも借り入れできる場合があります。
また、フランチャイズの開業資金の調達方法としてよく利用されるのは、以下の2つの融資制度です。
- 新創業融資制度
- 新規開業資金
新創業融資制度とは、新たに事業を始める人、または事業を開始して間もない人を対象とした融資制度。最大の特徴は、無担保・無保証人で利用できる点です。
最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)の融資を受けることができ、年利は1.11〜2.58%となっています。
銀行融資との最大の違いは、開業資金の10分の1の自己資金があれば融資を受けられる点です。
なお、新創業融資制度を利用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 新規事業または事業開始後の税務申告が2期以内
- 雇用創出等日本政策金融金庫が定める条件に該当する
- 創業にかかる費用の10分の1の自己資金を用意できる
新規開業資金とは、新たに事業を始める方、または事業開始して約7年以内の方を対象とした融資制度です。
最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)の融資を受けることができ、金利は1.16〜2.58%となっています。
返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が7年以内です。
また、過去に廃業を経験した方も融資を受けることができます。事業に再チャレンジしたいという方に対しては、前事業の廃業にかかった債務の返済にも利用することができるのは注目です。その場合、運転資金は15年以内まで使うことができます。
日本政策金融公庫のメリット・デメリットをまとめると、以下のとおりです。
【メリット】
- 銀行よりも融資が受けやすい
- 年利1~2%台という低金利で利用できる
- 無担保、無保証人でも利用できる
- 長期返済が可能
- 許認可前でも融資の決定を得ることができる
【デメリット】
- ある程度の自己資金が必要(創業資金総額の10分の1)
- 融資審査に時間がかかる(融資が決まるまでの平均期間が3週間)
日本政策金融公庫は他の資金調達方法と比べて融資のハードルが低いのが魅力。フランチャイズ開業にあたって自己資金が少ない、担保がない、保証人が見つからないという方にもおすすめです。
また、経営が安定するまでの期間を考慮して返済期間を長期に設定できる点も魅力ですね。
フランチャイズの開業資金調達手段:③国や自治体の補助金・助成金の利用
融資とは別に、補助金や助成金を受給することも、フランチャイズの開業資金を調達する有効な手段といえます。
融資との最も大きな違いは、原則返済義務がないこと。しかし、開業前にもらうことはできない点には注意しましょう。
そのため、補助金や助成金は、開業後の資金調達となります。資金はあるけど、負担を減らして、貯金に回しておきたい場合などに利用するといいでしょう。
また、融資とは異なり、大金がもらえるわけではありません。自治体の制度では、数十万円から二百万円程度の金額の補助に収まります。
フランチャイズ開業時に利用できる助成金・補助金の種類と、それぞれの特徴をいくつかご紹介していくので、参考にしてください。
【補助金】
補助金は、公募期間や募集枠が限られており、募集枠や予算を超えると申し込みが締め切られます。申込者の中から審査を行って受給者を決定するので、受給できない場合もあります。
- 創業・事業継承補助金(50万~200万円)
新たに創業、事業を継承する際に受給できる補助金。50万〜200万円までの補助を受けられます。
- ものづくり補助金
新事業創出のための試作品の開発、設備投資を行う際に受給できる補助金。100万〜1,000万までの範囲で補助が受けられます。
- 小規模事業者持続化補助金
新しい商品・サービスの販路を開拓する際に受給できる補助金。 50万円までの補助を受けられます。
- IT導入補助金
業務効率化のためのITツールを導入する際に受給できる補助金。40万〜450万円までの補助を受けることが可能です。
【助成金】
助成金は、1年中申し込むことが可能な点がメリット。条件や資格を満たせばいつでも受給することができます。
- 地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金とは、求人の少ない地域で従業員を雇う場合に受給できる助成金。助成額は50万円で、最大3回まで受け取ることができます。
- トライアル雇用奨励金
職業経験、技能、知識などから就職が困難な35歳未満の求職者を雇う場合に受給できる助成金。
- 特定求職者雇用開発助成金
65歳以上の高年齢者を雇う場合に受給できる助成金。40万〜70万円の助成金が出ます。
また、補助金・助成金は、原則返済が不要なのが最大のメリットでもありますが、後払いという点には注意したいですね。
そのため、資金はあるけど、資金計画により余裕を持てるように開業資金や運転資金を抑えておきたいという方におすすめの調達方法だといえます。
フランチャイズの開業資金調達手段:④ノンバンク
資金調達のノンバンクとは、その名のとおり銀行以外の金融機関から資金調達する方法のことです。預金の受け入れをせず「貸付業務」を専門的に行っており、消費者金融やカードローンなどがこれに該当します。
キャッシングやカードローンは銀行や信用金庫に比べると審査に通りやすいですが、その分、金利が高く、返済するのにリスクが伴います。リスクが高いため、フランチャイズの初期費用として利用することは、あまりおすすめできません。
利子の返済で手一杯になり、元本の返済ができないという事例は山ほどありますので、注意しましょう。
もし利用せざるを得ない場合は、確実に返済できる金額に留めて、返済できる余裕があれば繰り越してでもすぐに返済するようにしましょう。
フランチャイズの開業資金調達手段:⑤ソーシャルレンディングやクラウドファンディング
近年注目されているのが、ソーシャルレンディングやクラウドファンディングといった資金調達方法です。
ソーシャルレンディングとは、インターネット上でお金を借りたい人とお金を貸したい人を結びつけるサービスの総称のこと。
クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の方に資金援助を募集するサービスです。インターネット上に、実現したい事業や成し遂げたいゴールについて掲載することで、共鳴してくれる出資者を募ります。
不特定多数の方から資金を調達する方法で、大金は出せないけど、数万円くらいなら出資できるといった方が多くおり、合計金額で予想外の出資が集まることもあるのが特徴です。
ただし、ソーシャルレンディングやクラウドファンディングの実施がフランチャイズ本部から制限されている可能性もあります。もし、利用を検討している場合はフランチャイズ本部の担当者に事前に確認しておきましょう。
少ない自己資金で開業が可能な本部もある!
開業に必要な金額を考えると「資金が足りないから開業は不可能かもしれない」と諦めることはありません。
フランチャイズに加盟して事業を行うには、多額の資金が必要ですが、開業費用は本部によって大きく異なります。
以下のような手段が代表的です。
- 本部の優遇制度を活用する
- 加盟金0円のフランチャイズに加盟する
どのようにして資金不足を解決するのか、具体的な方法を詳しく知っておきましょう。
少ない資金で開業する手段:①本部の優遇制度を活用する
フランチャイズ本部のなかには、事業規模を広げるために、優遇制度を用意しているものもあります。さまざまな優遇制度により少ない自己資金でフランチャイズに加盟することが可能なので、そういったフランチャイズ本部を選ぶのもひとつの手段です。
- 加盟前に既存店舗で契約社員として働くと加盟金を全額免除
- 年齢制限つきで本部から加盟奨励金が出る
- 親族で運営する場合は手数料を一部免除
上記にご紹介したものはほんの一部で、フランチャイズ本部によっては、加盟者に対する融資や、事業に必要な設備の有料での貸し出しを行う場合もあります。優遇制度を活用すれば、開業に対する金銭的な負担を減らすことができますので、利用できる優遇制度がないか確認してみてください。
少ない資金で開業する手段:②加盟金0円のフランチャイズに加盟する
全てのフランチャイズが加盟金を要求しているわけではありません。一部のフランチャイズ本部では、加盟金を0円としていることもあります。
ただし、加盟金が0円だからと言って両手放しに喜べるわけではありません。加盟金が0円の代わりに、ほかの費用を高額に設定している場合があります。わかりやすい例でいえば、ロイヤリティを高く設定しているケースが挙げられます。
また、ロイヤリティが0円と謳うフランチャイズ本部も存在しますが、ほとんどの場合、商品の仕入れ価格を高めに設定しています。0円という謳い文句に騙されないように、加盟時にはほかの項目もしっかりと吟味するようにしましょう。
融資を受ける際に必要な書類と手順
ここまで、フランチャイズの開業時に利用できる資金調達について解説してきました。ここからは、最も多く使われている、日本政策金融公庫から融資を受ける際に必要なものと、その手順をご紹介します。
開業資金の融資は創業融資にあたります。創業融資の申し込みをする際には、「事業計画書」「本人確認書類」、法人の場合は「登記簿謄本」が必要です。
【必要なもの】
- 事業計画書
- 本人確認書類のコピー
- 登記簿謄本
- 借入申込書
- 通帳コピー
- 借入金のある場合は、支払明細書
- 不動産の賃貸借契約書
- 営業許可書、資格または免許を証明するもの
- 見積書、工事請負契約書
- 運転免許証のコピー
- 関連企業の確定申告書及び決算書
- 印鑑証明書
- 代表者自宅の水道光熱費の支払い状況が分かる書類
金融機関によっては補足資料などで他の書類を求められることもありますが、上記はどの金融機関でも必須の書類なので、事前に用意しておきましょう。
【手順】
- 自己資金、必要書類の準備
- 窓口での相談・申し込み
- 面談
- 融資
- 返済
融資を受ける際は、事前準備が必須です。スムーズに融資を受けるためには上記で説明した書類と、融資までの流れをしっかりと理解して挑みましょう。また、以下のポイントも押さえておくと、よりいいですよ。
- 創業動機が明確か
- 事業を継続していく覚悟
- 家族の理解があるか
- 創業場所は決まっているか
- 必要な従業員を確保できるか
- 事実に基づいた現実的な売上高や利益の予測ができているか
- 自己資金をいくら準備しているか
- 実現可能な事業計画書が作成されているか
これらのポイントを熟考、整理し、提出書類の不備や不足がないよう準備を進めましょう。ポイントは焦らずに進めることです。フランチャイズに加盟することをしっかりと吟味して、計画を練ったら、そこからは素早く行動するのが重要です。
開業資金を融資してもらうときの注意点
日本政策金融公庫や自治体の融資制度は開業したい人に便利ですが、融資を受けるには注意すべきポイントが3つあります。
- 1,000万円を超えると融資が難しくなる
- フランチャイズ本部により審査の難易度が変わる
- 自分で事業計画を作ることが重要
資金調達を成功させるために、しっかりと準備をしておきましょう。
開業資金を融資してもらうときの注意点:①1,000万円を超えると融資が難しくなる
未経験から開業する人は経営の実績がないため、基本的に金融機関は融資に前向きではありません。実績や業歴がないと経営難に陥りやすく、融資分の回収ができない可能性があるためです。なかでも融資が特に厳しくなるのが1,000万円の壁です。
例えば、日本公庫の融資制度で1,000万円を超える融資を申請すると、融資条件がかなり厳しくなります。
具体的に、新創業融資制度で1000万円超の融資を受ける条件を以下にまとめましたので、参考にしてください。
- 雇用を伴う事業であること
- 事業開始前に同じ業種を経験していること
- 民間金融機関と公庫の協調融資を受けて事業を始めること
また、自治体の融資制度では、そもそも、1,000万円を超える融資を行わないところが多くあります。
外部から資金を調達する場合、1,000万円を超えるとハードルが高くなるということは、覚えておきましょう。
開業資金を融資してもらうときの注意点:②フランチャイズ本部により審査の難易度は変わる
融資を受ける際には、自身の経歴や事業計画書のほかに、どのフランチャイズに加盟するのかという点も重要です。
まだまだ、無名のフランチャイズに加盟するのと、既に成功している本部に加盟するのとでは、融資を受けられる可能性は大きく異なります。もちろん、成功する可能性が高い、実績のあるフランチャイズに加盟するほうが融資を受けやすいですよ。
開業資金を融資してもらうときの注意点:③自分で事業計画を作ることが重要
大半のフランチャイズ本部は加盟者向けに事業計画を作成してくれますが、売上予測や集客率などが楽観的に分析されているケースがあります。
フランチャイズ本部から提示される事業計画は参考にすることは大切ですが、鵜呑みにすることなく、自身で作成することが重要です。
融資を受ける際の面談時に、より具体的な話をするためにも、事業計画書は自分で作りましょう。
また、自分で事業計画書を作成することで、フランチャイズ本部からの目線では気が付きにくいポイントについて明らかになることもあります。
フランチャイズ開業後の具体的なイメージを持つためにも、事業計画書の作成は必須といえるでしょう。
開業時の資金繰りには要注意!
これまで解説してきたとおり、フランチャイズに加盟して開業時には多くの資金が必要となります。開業資金の確保と同時に注意すべきは運転資金です。
ビジネスが好調に進んで黒字化するまでには、数ヶ月を要する場合もあります。ここからは、資金繰りにおける注意点をご紹介していきます。
開業時の資金繰り注意点:①生活資金を見積もる
個人事業の場合、生活資金と事業の運転資金を同じものとして考えてしまうケースがあります。
理想的には、開業後1年間は事業の成り行きにかかわらず生活ができる程度の生活資金があると安心です。
そのため、毎月の家賃・通信費・水道光熱費だけでなく、食費や家族の教育費なども具体的に計算しましょう。
開業時の資金繰り注意点:②運転資金を見積もる
店舗経営をしていくには、当然ですが経費がかかります。商品の仕入れや人件費、店舗の家賃や水道光熱費といったコストは経営上しっかりと管理することが大切です。
また、不測の事態に備えて半年分の運転資金があるとなおいいでしょう。
近年起きた新型コロナウイルスによる社会情勢の変化などを考えても、事前の資金準備が事業継続の肝になる可能性が高いです。
フランチャイズ加盟のメリット・デメリット
ここまでフランチャイズの加盟店として開業する場合の開業資金と、融資を受けるためのポイントについて紹介してきました。
フランチャイズに加盟する際には、自力での開業では得られないメリットとデメリットについても確認しておきましょう。
フランチャイズ加盟のメリット
- フランチャイズの持つブランド力や知名度を利用できる
- 未経験でもフランチャイズ本部が培ったノウハウやマニュアルを活用し開業できる
- 経営で困った際にはサポートを受けられる
- フランチャイズ本部が一括仕入れするため、個人で仕入れるよりもコストを下げられる
- 利益がそのまま報酬になる
- すでに取得している土地を活用できることもある
フランチャイズの最大の魅力は、経験がなくても開業でき、開業後もフランチャイズ本部のサポートを受けながら経営していける点です。
また、土地はあるけど使い道に迷ってる場合も、フランチャイズは有効といえます。業態によっては無人店での運営も可能なので、 さほど経費をかけずにお小遣い稼ぎができることもありますよ。
フランチャイズ経営のデメリット
- 開業時に加盟金や保証金などまとまった資金が必要となる
- 経営方針はフランチャイズ本部に規約があり自由度が下がる
- 毎月の売り上げに応じてロイヤリティを支払う必要がある
フランチャイズをするうえでネックなのが、フランチャイズ本部に支払う加盟金やロイヤリティでしょう。
自分の経営手腕に自信があり、独自のお店を作りたい方からすると、ロイヤリティの支払いが必要なうえ、自由な経営ができないフランチャイズは魅力に乏しいと感じるかもしれません。
まとめ:フランチャイズ加盟には1,000万円の資金が必要!
フランチャイズに加盟するには莫大な開業資金が必要になります。フランチャイズオーナーとして開業するには、通常多額の資金が必要です。
一般的には、開業資金だけで300万円程度、運転資金や生活資金も含めると、1,000万円は見込んでおく必要があります。
開業に必要な費用は、加盟金や保証金などブランド本部に支払う費用のほか、スタッフの採用や店舗の取得にかかる費用など多岐に渡ります。
自分の場合は何にいくらかかるか、契約前に整理しておくことが大切です。
なお、開業資金は必ずしも全額自己資金でまかなう必要はありません。金融機関や国庫以外にも、フランチャイズ本部独自の優遇制度にも目を向けましょう。
これまで開業資金がネックでフランチャイズ加盟を諦めていた方も、本記事を参考にしてみてください。
また、フランチャイズ開業にはタイミングも大事なので、開業資金が貯まってからと先延ばしにしていると大きなビジネスチャンスを逃すこともあります。
外部から資金調達をすることは借金となり、マイナスのイメージも多いですが、ビジネスにおいてはそんな事はありません。資金調達はチャンスを掴むだけでなく、運転資金のカバーにも役立つので検討する価値があるといえます。
フランチャイズチャンネルでも、フランチャイズの開業資金について語っている回がありますので、是非ともご覧ください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。今回の記事が参考になりましたら幸いです。
最後に…
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